4段階目は中度の歯周炎です。ここから歯を支える骨が溶けはじめたり、歯がぐらついたりといった症状があらわれます。歯ぐきの腫れや出血がひどくなっていくだけでなく、歯ぐきからは膿や臭いといった状態に悪化します。さらには、歯ぐきが痩せて歯が細長く見えるといった目にみえるようなかたちで症状があらわれます。
2022年現在、日本では30歳以上の方の約8割が歯周病になっています。
しかし、歯周病という名前は聞いたことはあっても、どういった症状かご存知でない方が多いと思います。そこで、歯周病の恐ろしさや、歯周病の予防法そして治療法についてまとめました。
歯周病とは何?
歯周病とは、歯肉や歯の中についた細菌の感染によって引き起こされる炎症のことで、歯を支えてくれている歯ぐきや骨が溶けていく病気です。歯周病になると歯ぐきが赤くなり、血がにじんだり口臭にも影響を及ぼします。
また、歯のぐらつきや歯の神経にも細菌が感染して虫歯になりやすくなるといった症状を引き起こします。歯周病になりやすい原因として、日常的な歯磨きの怠慢や磨き残し、生活習慣が挙げられています。
歯周病が進行するとどうなるの?
歯周病には、健康な歯ぐきから、歯ぐき炎→軽度歯周炎(歯周病)→中度歯周炎→重度歯周炎といった、4つの進行段階があります。
健康な歯ぐき
まず、健康な歯ぐきは薄いピンク色をしているのが特徴です。歯と歯の間の歯ぐきがしっかりと引き締まっている状態です。
歯肉炎
2段階目は歯肉炎という状態で、歯周炎(歯周病)の一歩手前といった状態です。歯肉炎の段階ではお口の中の清掃が不十分なときに、歯ぐきにのみ炎症を起こします。歯磨きのときに出血を起こすことがありますが、継続した正しい歯磨きと歯科医院での治療で元の健康な歯ぐきに戻ります。
軽度の歯周炎
3段階目は、軽度の歯周炎で、歯ぐきの炎症が更に進んだ状態です。歯ぐきが腫れる他に、知覚過敏といった症状が起こるようになります。
知覚過敏について中度の歯周炎
重度の歯周炎
5段階目は、重度の歯周炎で、中度の歯周炎で起こる症状がさらに悪化しています。 しかも、歯が勝手に抜け落ちたり食事をするときに激しい痛みが伴うなど、日常生活にも支障をきたす末期の状態です。
歯を失ってしまうと、失った部分を補おうと他の歯が不規則に傾いて歯並びが悪くなったり、噛む力が弱くなって、健康な歯も失う可能性があります。悪影響を受けるのは歯だけではありません。発音が不明確になり、相手との意思疎通が難しくなることもあるでしょう。
また嚙む力の衰えや歯の減少によって固いものが食べられなくなり、食べ物にも偏りが出ることで、生活習慣病など身体にも悪影響を及ぼしてしまいます。その他、嚙むことによって与えていた脳への刺激が減少し、認知症の原因にもなり得ます。
歯周病が進行するケース
歯周病が進行するケースとしては、以下のケースが挙げられます。
- 不摂生な生活(生活習慣病)
- ストレス
- 薬の長期にわたっての服用
- 遺伝
- 歯ぎしり、くいばしり、嚙みしめ
- 口呼吸
これらのケースに当てはまる方は、歯周病の進行が早い傾向にあります。早急に歯科検診を受けることをおすすめします。
歯周病の治療方法は?
歯周病にならないためにはどうすればいいの?
不治の病と言われたこともある歯周病ですが、現在では治療および予防が可能です。重度の歯周病になってしまった場合も、必ずしも打つ手なしという訳ではありません。きちんとした治療方法が存在します。
基本的には虫歯の治療と一緒で、まずは歯ぐきの治療から始まり、患者さまの虫歯や傷んだ歯を削ってつめ物やかぶせ物を作製するために型どりを行います。その後、空いたスペースを補おうと歯が勝手に生えたり傾かないように、仮フタを詰めます。そして最後に、作製されたつめ物またはかぶせ物を虫歯や空いた歯のスペースに合わせます。この治療は1回では終わらず数回に分けて行うので、最低でも数か月以上はかかります。
次に、予防法ですが定期的な歯科検診や正しい歯磨きを日常的に行うというのが最も重要です。歯周病は歯ぐきへの汚れがたまって起こる病気ですから、正しい歯磨きを日常化することで、歯周病になるリスクを減らすことができます。
また、正しい歯磨きの順序を知ることも大切です。独学では限界がありますので、定期的に歯科検診に通うことを忘れてはいけません。さらに、殺菌効果と歯質強化効果があるフッ素が含まれている歯磨き粉を使うことで、歯周病と虫歯の予防につながります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
歯周病は放置してしまうと恐ろしい病気ですが、以下のルールを守っていれば決して治らない病気ではありません。
- 毎日、正しい順序で歯磨きをおこなうこと
- 歯だけでなく、歯ぐきも磨いて、炎症を引き起こす細菌をできるだけ取り除くこと
- 傷んでしまった歯ぐきや歯、骨や神経は歯科医院に通って治療すること
- 定期的に歯科検診を受けて、歯のクリーニングやメンテナンスを行うこと
- 食べ物をできるだけ飲みこまず、よく嚙むこと
- 生活習慣に気を配ること
普段から注意を払うことで、十分に予防することができます。これをきっかけに是非ともご自分の生活を見直してみましょう。