ボトックスとは、ボツリヌス菌と呼ばれる食中毒の原因菌が作るタンパク質を加工して作るボツリヌス毒素製剤の一つです。
このボツリヌス菌自体は神経毒を分泌し、筋肉の麻痺を起こすものですが、治療の際は治療用に加工された薬剤を注射します。ボトックス注射で菌に感染はしませんので、ご安心ください。
ボトックス注射って何？
※最新の治療費については、直接医院へお問合せください。
えらの張りやしわの改善など、ボトックス注射には様々な効果があります。 歯科では歯ぎしり・食いしばりの治療法として、マウスピースの着用のほかにボトックス注射を行っています。 今回は歯ぎしり・食いしばりの治療法としてのボトックス注射について、詳しく解説していきます。
筋肉が収縮するとき、神経からの指令を受けています。ボツリヌス毒素がその伝達を妨害する働きをするため、筋肉の収縮を弱める効果を得ることができるのです。
どのくらい効果があるの？
注射後、数日〜1週間ほどで効果が現れます。
しかし、3〜6ヵ月程で徐々に筋肉の働きが戻ります。効果は永続的ではありませんので、継続的な注射が必要な場合があります。ボトックス注射は、効果の継続期間の個人差が大きい治療です。しかし、逆に言えばある程度の期間で効果が切れる治療ですので、安心して使用できるとも言えます。
ボトックス注射は継続的に打つことにより、効果が長く続くとされています。その理由は「噛む」という動作に使う筋肉にあります。
ボトックス注射をする筋肉は噛むための筋肉の中で最も大きい咬筋という筋肉です。噛む動作には他に、側頭筋というこめかみの筋肉と、翼突筋という内側と外側にある小さな筋肉の計4つの筋肉が協調しています。
身体と同じで、顔の筋肉も使えばトレーニングされ発達します。ボトックスの効果が出ている間は筋トレをサボっている状態ですので徐々に動きが鈍くなります。
咬筋の動きが鈍っている間、他の3つの筋肉が咬筋を補って働き、噛む動作を行います。適切な時期に再度注射をすることで、徐々に3つの筋肉で噛む癖がつきます。癖が定着すると咬筋を使わず噛む習慣が続きます。よってボトックス効果が薄れても咬筋が再び鍛えられにくくなり、効果が長く続くと言われています。
しかし、あまり短期間で注射を繰り返してしまうと抗体ができやすいとも言われています。そのため、施術間隔は歯科医師との相談が不可欠です。
費用について
初診時に検査・診査代として保険適応で3,000円程かかります。
CT撮影を行った場合、保険適応で別途3,000円程かかります。
ボトックス注射は保険適応外です。当院では両側への注射で33,000円（税込）かかります。。
※効果には個人差があります。
※効果の程度による保証はいたしかねますので、ご了承ください。
メリット・デメリット
メリット
歯ぎしり・食いしばりが軽減される
歯ぎしり・食いしばりにより、天然歯が欠ける・削れる・歯根が折れる等のリスクを回避できるだけではなく、治療したセラミックの歯やインプラントも守ることができます。関連がないように思われるかもしれませんが、歯ぎしり・食いしばりで歯周病が悪化することもあります。
そうしたリスクも軽減できます。また、歯ぎしり・食いしばり原因の頭痛や肩こり等が治ったという報告もあります。
えらの張りが消え小顔に
骨格が張っている方は効果を感じられませんが、筋肉が張っている方はボトックス注射後、輪郭がシャープになる方もいらっしゃいます。
施術時間が短い（ダウンタイムがほぼない）
ボトックス注射のみの施術時間は止血を含めて10分程度です（初診時の問診等のお時間は別途必要です）。
また、ダウンタイムもほぼなく、注射後は止血でき次第ご帰宅いただけます。お化粧も当日していただいて問題ありません。
デメリット
副作用がある
内出血・むくみが起きる方がいらっしゃいます。痛みや腫れが出る場合もありますが、数日で解消されます。
また、噛む力を弱める注射ですので一時的に噛みにくさや違和感を感じる方もいらっしゃいます。筋肉の動きが戻るにつれて解消されますが、お肉などがしばらく噛みにくく感じる方もいらっしゃいます。
効果は永続的ではない
3〜6ヵ月程で効果が薄れてきます。打ち続けることで持続期間が長くなることもありますが、個人差がありますので何度も打つ必要がある方もいらっしゃいます。費用も都度かかりますので、安価な治療ではありません。
ボトックス注射のできない人
妊娠中・妊娠予定・授乳中・妊娠の可能性がある方は、ボトックス注射はおすすめしません。これは女性だけでなく、パートナーの男性にも当てはまります。現状、妊娠とボトックスに関する報告数があまりにも少ないため、はっきりとしたことが言えません。
しかし、報告が少ないだけでボトックス注射後は妊娠を一定期間控えた方が良いとする医療機関が多いようです。
避妊を推奨する期間として、女性はボトックスの最終注射後2回の月経を経るまで。男性は最終投与後少なくとも3ヵ月としています。
また、アレルギーや筋力低下をきたす神経・筋疾患のある方もボトックス注射を行うことができません。服薬中のお薬に関しても同様で、種類によっては施術ができない場合もございます。問診時、正しく申告をするようにしてください。
ボトックス注射後、注意すること
注射後3日ほどは血行の良くなる行為は控えてください。ボトックスが熱に弱いという特性があるためです。激しい運動、長時間の入浴やサウナ、飲酒、マッサージ等が当てはまります。マッサージはお身体・お顔ともにお控えください。
お身体は血行が良くなるため、お顔は注射した筋肉以外の筋肉へボトックスの効果が出てしまう可能性があるためです。
表情筋などに効果が出てしまうと笑った時に引き攣ってしまうことがあります。
しかし、知らずにマッサージをしてしまった！という方もご安心ください。ボトックスの効果は永続的ではないとお伝えした通り、徐々に効果は薄れます。
また、注射後期間を空けずにレーザー治療の機械等の施術を受けてしまうと、針跡が残ってしまうこともあります。2週間程度控えていただくことを推奨いたします。
まとめ
ボトックス注射の効果は3〜6ヵ月程度で徐々に薄まるため、定期的な注射が必要です。
しかし、適切な時期に注射をすることにより、戻りにくくなる例もあります。逆に短期間で注射をしすぎると抗体ができてしまうこともありますので、まずは歯科医師としっかり相談し、正しい診断を受けた上で治療を受けましょう。
また、効果を長続きさせるためにも、特に注射後の注意事項は守りましょう。
ボトックス注射ができない可能性もあるため、疾患・アレルギーや服用しているお薬に関しては正しい申告をお願いいたします。
お知らせ
当院で使用しているボツリヌストキシン製剤は、厚生労働省に承認された医薬品ではなく未承認の医薬品となります。
・入手経路
「医師等の個人輸入」となります。
・諸外国における安全性等に係る情報
当院で使用している薬剤はKFDA（韓国食品医薬品安全庁）の認可を受けています。韓国最大の医薬品メーカーであるデウン製薬が製造したボツリヌストキシン製剤で、米国FDAの安全基準・品質基準をクリアした非常に純度の高い製剤です。
予見できない重大な健康被害等は報告されておりません。
・国内の承認医薬品等の有無について
国内では、ボトックスビスタ（アラガン）が厚生労働省認可を取得している製剤です。
